ここから始まる札幌ワイルドサーモンプロジェクト
豊平川さけ科学館30周年記念フォーラムから
木村 義一氏/有賀 望氏/畠山 亜希子氏/荒木 仁志氏/中村 太士氏
194万都市・札幌を流れる豊平川を舞台に2014年、画期的な自然復元計画がスタートしました。その名も「札幌ワイルドサーモンプロジェクト」。人工ふ化放流によって1980年代に自然遡上が復活したサケ個体群を、人の助けによらず自力で世代交代していける「野生魚」に戻すのです。11月3日、札幌国際ビル会議場に超満員の聴衆を集めたお披露目フォーラムのもようをお届けします。
卜部浩一、藤原 真、宮腰靖之、神力義仁、下田和孝、川村洋司、佐々木義隆、隼野寛史
北海道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場
北水試研究報告 第84号(2013年9月発行)
http://www.fishexp.hro.or.jp/cont/marine/o7u1kr000000e9m4.html
卜部浩一,三島啓雄,宮腰靖之
北海道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場
北水試研究報告 第84号(2013年9月発行)
http://www.fishexp.hro.or.jp/cont/marine/o7u1kr000000e9m4.html
森田健太郎, 高橋悟, 大熊一正, 永沢亨. (2013) . 日本水産学会誌 79: 206-213.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/79/2/79_12-00054/_article/-char/ja/
サケ資源はほとんどが放流魚で維持されていると考えられているが,これまで野生魚(自然産卵由来)の寄与率は調べられていない。本研究では,耳石温度標識による大量放流が行われている北海道の 8 河川において,サケ野生魚の割合を推定した。ウライで捕獲されたサケに占める野生魚の割合は,調査河川全体で計算すると28.3±1.2%,放流魚の全数が標識されている河川に限定すると 15.9±0.6% と推定された。野生魚の割合は河川や年級群によって大きく変動したが(0~50%),野生魚も十分に資源に貢献しうると考えられた。
長谷川功, 森田健太郎, 岡本康孝, 大熊一正(2013) .日本水産学会誌 79: 657-665.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/79/4/79_12-00087/_article/-char/ja/
これまでサケ資源のほとんどは放流魚だと考えられていたが,最新の研究によって野生魚もある程度含まれていることが示された。次に野生魚と放流魚の差異を明らかにすることは両者の適正管理につながる。そこで,本研究では,放流魚のすべてに耳石温度標識が施されている北海道の 3 河川で成熟時の年齢と体サイズを野生魚と放流魚間で比較した。その結果,野生魚の方が放流魚よりも高齢で大型である河川,年齢と体サイズともに違いがみられない河川,若齢時は野生魚の方が大型であるが高齢になると大小関係が逆転する河川があった。
森田健太郎, 平間美信, 宮内康行, 高橋悟, 大貫努, 大熊一正(2013) .日本水産学会誌 79: 718-720
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/79/4/79_12-00086S/_article/-char/ja/
北海道千歳川のウライ(上りやな)上流域において,2011 年度中に自然産卵するサケの親魚数を推定するとともに,自然産卵由来の野生サケ稚魚数を推定し,サケの自然再生産効率を推定した。約3,700~4,400尾のサケ親魚が自然産卵し,約121万尾の野生サケ稚魚が自然産卵によって発生したと推定された。自然産卵に基づくサケ雌親魚 1 尾あたりの稚魚生産数は約550尾,卵から稚魚までの生存率は約 20%と推定された。サケの自然再生産は,生物多様性の保全のみならず,ある程度の増殖効果も期待されると考えられた。